給与の基礎知識
給与とは
賃金とは、賃金、給与、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。
給与とならないもの
任意的・恩恵的なもの(退職金、結婚祝金、病気見舞金、死亡弔慰金、災害見舞金等)
福利厚生的なもの(住宅の貸与、食事の貸与等)
企業設備、実費弁償敵なもの(制服、作業着、出張旅費、解雇予告手当等)
ただし、就業規則や労働協約等によってあらかじめ支給条件が明確なものについては、給与とみなされます。
給与支払5原則とは
労働基準法で「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定に期日を定めて支払わなければならない。」と定められています。
①通貨払いの原則
賃金は、通貨(強制通用力のある貨幣)で支払わなければなりません。現物支給を原則として禁止しています。もちろん、手形で支払うなんていうのもダメです。口座振込による支払については、労使協定と労働者の同意がある場合です。
②直接払いの原則
賃金は、直接労働者に支払わなければなりません。これは、ピンハネを防ぐためです。賃金は必ず労働者本人に支払って下さい。・・・仲介者や代理人に支払ったりすることはできません。
③全額払いの原則
賃金は、全額支払わなければなりません。控除できるのは、
・法令に別段の定めがある場合・・・税金、社会労働保険料など
・労使協定がある場合・・・「賃金控除に関する協定」を必ず結びましょう。この協定を結ばずに「旅行積立」や「保険料」を控除しているのは違反です。
④毎月払いの原則
賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。
⑤一定期日払いの原則
賃金は、一定の期日を定めて支払わなければなりません。労基法では、決まった周期で賃金が支払われるように定められています。
給与等の請求権の時効
労働基準法第115条では、「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。」と定められています。
これらを含めた債権は、時効期間が経過すれば消滅します(時効の完成といいます)(ただし不確定的)。
時効の援用は、時効が完成していることを主張することですから、裁判所に認めてもらう必要はありません。
ただし時効の完成後、時効の援用をする前にそれと相反すること(支払いを承諾するとか)をすれば、時効の完成による債権の消滅はなかったことになります(時効の利益の放棄)ので注意して下さい。
最低賃金とは
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
最低賃金の種類
最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。
「特定(産業別)最低賃金」は「地域別最低賃金」よりも高い金額水準で定められています。
※ 地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
最低賃金が該当しないケース
・精皆勤手当、通勤手当、家族手当など
・臨時に支払われる給与
・賞与など1ヶ月を越える期間ごとに支払われるもの
・時間外労働、休日労働、深夜労働に対して支払われる給与
出来高払制の給料
出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
出来高払制その他の請負制で使用する労働者は、出来高などによって低い賃金しか得られないことがあるので、労働時間に応じた一定額の賃金の保証を使用者に義務付けています。
一定額については具体的な定めはありませんが、少なくとも平均賃金の100分の60程度を保障することが妥当とされています。
休日振替とは
法律上、休日とは労働義務のない日を言います。
休日の振替とは、あらかじめ休日としていた日と他の労働日を振り替えることを言います。つまり、労働日を休日(振替休日)として休ませて、休日としていた日を労働日として勤務させます。
このような措置を取った場合は、休日に労働させたことにはなりません。
休日振替の条件
・就業規則に休日の振替を行う旨を定めること
・あらかじめ振り替える日を特定すること
・1週1日以上の休日を確保すること
代休とは
代休とは、休日に勤務させてから、後で代償として他の労働日に休ませることを言います。事前に休日(振替休日の日)を特定するか、事後に代わりの休日(代休)を与えるかという違いです。
代休は休日の振替のように休日と労働日が変更されたものではないため、休日の勤務はそのまま休日労働となります。したがって、休日労働の割増賃金の支払が必要になります。
時間外・休日・深夜労働の割増賃金
時間外や深夜(午後10時~午前5時)に労働させた場合には、2割5分以上、法定休日(1週間に1日もしくは4週間で4日の休日)に労働させた場合には、3割5部以上の割増賃金を支払わなければなりません。これは、たとえ時間外労働・休日労働に関する協定届の提出がなされていなくても支払いの義務があります。
割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は算入しません。
年俸制適用労働者に対しても、時間外、休日及び深夜に労働させた場合には、割増賃金を支払わなければなりません。ただし、労基法第41条第2号の管理監督者、機密事務取扱者については、労働時間の規制が除外されていますので、深夜業の場合を除き割増賃金の問題は生じません。また、裁量労働で労使協定によりみなし労働時間制を採用し、みなし労働時間が法定労働時間を超えていなければ、実際の労働時間には関係なく、みなし時間に応じた年俸が設定されていればよいこととなります。
賞与については、支給額があらかじめ確定しているものは賞与とはみなされません。年俸制で毎月支払い部分と賞与部分を合計してあらかじめ年俸額が確定している場合の賞与部分についても割増賃金の算定基礎に入れなければなりません。
法定労働時間とは
法定労働時間とは、法律で労働時間の限度として決められている労働時間のことをいいます。
原則として、1日8時間、1週40時間まで。
特例として、従業員数10人未満の下記の事業は1週44時間まで。
所定労働時間とは
会社の就業規則などで定められた1日及び1週間の労働時間のことで、所定労働時間は、法定労働時間の範囲内でなければなりません。
年次有給休暇とは
年次有給休暇は、労働者の疲労回復、健康の維持・増進、その他労働者の福祉向上を図る目的で利用される制度です。
使用者は、雇用する労働者に対し、所定休日以外に年間一定日数以上の「休暇」を与えなければなりません。
そして、その休暇となった日について一定の賃金を支払うことが義務付けられています。
この規定に違反して休暇を与えない使用者は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。
年次有給休暇の不要要件
継続勤務が要件となります。
・勤務開始の日から6か月間継続して勤務していること。(「6か月間継続して勤務する」とは、6か月間途切れることなく在籍することであり、出勤を続けることではありません)
定年後再雇用の場合、定年までの勤務がこれに繰り入れられるので、再雇用開始から6か月の経過を待つ必要はありません。
付与する日数も退職時に持っていた残日数を持ち越すべきであるとするのが行政当局の見解のようです。
・全労働日の8割以上出勤した労働者。(「8割以上の出勤」には、次の期間は出勤したとみなされます)
業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間。
育児休業、介護休業した期間。
産前産後の休業した期間。
管理監督者など、労基法41条に該当する者にも、年次有給休暇制度は適用されます。
短時間労働者、パートタイマーなどの短時間労働者は、年次有給休暇の対象とならないと誤解されるていることがあります。
しかし、「6か月間継続勤務」をし、「出勤率8割以上」の要件を満たせば、短時間労働者であっても、年次有給休暇を付与しなければなりません。
年次有給休暇の付与日数
使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
さらに1年間、8割以上継続出勤するごとに有給休暇は10労働日に加えて勤続2年6ヶ月目まで1労働日ずつ加算して付与され、勤続3年6ヶ月目からは2労働日ずつ加算して付与される。勤続6年6箇月経過時には20労働日に達し、それ以上は加算して与えなくともよい。すなわち1年間の継続勤務ごとに20日を付与すればよい。
早退・遅刻・欠勤控除の給与計算
労働基準法には、欠勤控除に関しての規定がありません。
遅刻・早退の給与計算については、欠勤時の給与計算と同様に、割増賃金の給与計算のように労働基準法で定められているわけではありません。
月給者の欠勤控除をする場合、以下の計算式で行うことが考えられます。
・月給額/年平均の月所定労働日数×欠勤日数
・月給額/該当月(一賃金計算期間)の所定労働日数×欠勤日数
・月給額/年平均の歴日数×欠勤日数
・月給額/該当月(一賃金計算期間)の歴日数(28日・29日・30日・31日)×欠勤日数
遅刻・早退の給与計算方法は、次のとおりです。
遅刻・早退控除額 = 遅刻・早退控除の対象とする1ヶ月の給与額 / 1年間の月平均所定労働時間数 × 遅刻・早退の時間数
「遅刻・早退控除の対象とる1ヶ月の給与額」 ・・・ 「基本給のみ」や「基本給+手当」など就業規則等で自由に定めることができます。
「1年間の月平均所定労働時間数」 ・・・ ( 365 - 年間休日数 ) × 1日の所定労働時間 / 12
フレックスタイム
雇用契約を結ぶ際には、始業時刻・終業時刻を定めなければなりません(原則)。フレックスタイム制では、これを各人の自由とします。一般的には就業義務のある時間帯(コアタイム)を設けて、その前後に出勤時間帯と退社時間帯を設定しますが、コアタイムの設定は法律要件ではありません。
超過時間については時間外手当を支給します。不足時間については給与のカットを行なうか、翌月に繰り越して翌月分の超過時間と相殺します。
休憩時間とは
労働基準法では、次のように定められています。
労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を労働時間の途中に与えなければなりません。
ここでのポイントは、「超える」という意味です。
つまり、労働時間が6時間の場合は、6時間を超えていないので休憩時間はなくてもよいことになります。
労働時間が8時間の場合は、8時間を超えていないので休憩時間は45分以上1時間未満でもよいことになります。
休憩時間の3原則
①労働時間の途中に与えなければならない
②一斉に休憩を与えなければならない(例外あり)
③休憩時間は自由に利用させなければならない(例外あり)
一斉休憩の例外
・例外事業
運輸交通業、商業、金融、広告業、映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署
・労使協定で一定の事項を定めた場合
・坑内労働(労働基準法-第38条2項)
自由利用の除外
・警察官、消防吏員、常勤消防団員、児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居を共にする者(所轄労働基準監督署長の許可不要)
・乳児院、児童養護施設、知的障害者施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設に勤務する職員で児童と起居を共にする者 (所轄労働基準監督署長の許可必要)
・坑内労働(労働基準法-第38条2項)
産前産後休業・育児休暇と給与
産前産後休業中の給与に関し有給にするか無給にするかは、労使間の取決めによります。
労使間の合意がない場合は、ノーワークノーペイの原則が適用され無給となります。
産前産後休業中の給与が無給の場合は、健康保険から出産手当金として標準報酬日額の3分の2に相当する金額が支給されます。
ただし、有給の場合でも支払われる給与が、出産手当金の額より少ない場合は、その差額が支払われます。
出産とは妊娠4ヶ月以上の出産をいい、死産もふくまれます。また、妊娠4ヶ月以降に行った中絶の場合も産後休業の規定が適用されます。
産前休業は、出産予定日を基準として計算します。出産日が出産予定日より遅れた場合は、その期間も産前休業の期間に含めます。
産前休業は、実際の出産日を基準として計算します。
育児時間中の給与に関し有給にするか無給にするかは、労使間の取決めによります。
労使間の合意がない場合は、ノーワークノーペイの原則が適用され無給となります。
育児時間を請求できるのは、女性に限られます。
育児時間は、勤務時間の始めまたは終わりに請求することもできます。
生理休暇と給与
労働基準法第68条では、「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。」と定めてあります。
生理休暇中の給与に関し有給にするか無給にするかは、労使間の取決めによります。
労使間の合意がない場合は、ノーワークノーペイの原則が適用され無給となります。
就業規則等で生理休暇の日数を限定することはできません。
生理休暇は、半日または時間単位で請求することもできます。
非課税となる給与
・通勤手当等
通勤手当や通勤用定期乗車券の支給については、1ヶ月当たりの合理的に計算された運賃等の額を限度として非課税とされます。なお、通勤手当とは、通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために払出しする費用に充てるものとして通常の給与に加算して支給するものをいいます。
・旅費
給与所得者が、勤務する場所を離れてその職務を遂行するための旅行をした場合に、その旅費として支給される金品で、その旅行の目的、目的地行路もしくは期間の長短、旅行者の職務内容等からみて、その旅行について通常必用であると認められるものについては、課税されません。ただし、支給される旅費の実質的な内容が給与等と認められる場合には、たとえ名目が旅費であっても給与として課税される事になります。
・海外渡航費
使用者が役員又は使用人に対して海外渡航のために支給する旅費などは、その海外渡航が使用者の業務の遂行上直接必要と認められる場合(旅行期間内における個々の行動内容や業務従事割合、旅行目的等を総合的に勘案して判定されます)、その海外渡航のために通常必要と認められる部分の金額に限り、非課税とされます。
・宿日直料
正規の勤務時間内の勤務として行われるものでない場合や本来の職務に従事する事を目的としない場合に支払われる宿日直料は、1回の宿日直について支給される金額のうち4,000円(宿日又は日直の勤務をすることにより支給される食事がある場合には、4,000円からその食事の価格を控除した残額)までの部分については、原則として課税されません。
・深夜勤務者の食事代
正規の勤務時間の一部又は全部が深夜(午後10時から翌日午前5時)に及ぶいわゆる深夜勤務者に対し、夜食の提供が著しく困難なため、これに代えて通常の給与に加算して支給される食事代で、その支給額が勤務1回につき300円以下のものについては、課税されません。なお、この場合の支給額が非課税限度額の300円を超えるかどうかは支給額に105分の100を乗じた金額により判定します。
・見舞金、結婚祝金品等
見舞金、結婚、出産等の祝金品は、その全額が支給を受ける役員又は使用人の地位などに照らして社会通念上相当と認められるものであれば、課税されません。
・災害補償金等
療養のための給付金や休業、障害等の補償金及び葬祭料、傷病手当、障害手当等の支給については非課税とされます。
・死亡退職者の給与等
死亡した者に係る給与や退職金で、その死亡後に支給期の到来するもののうち、相続税法の規定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、課税されません。
・学資金
使用者が、使用人に対して学校(入学及び高等専門学校を除きます)の修学費用に充てるものとして支給する金品で、その修学のための費用として適正なものについては、役員又は使用者である個人の親族のみをその対象とする場合を除き、課税されません。
・技術習得費
業務上の必要性に基づき、職務に直接必用な技術や知識を習得させるための適正な費用(技術習得費用)の学は、課税されません。
なお、技術習得費用とは、役員又は使用人にその役員又は使用人としての職務に直接必要な技術や知識の習得費用、免許や資格を取得させるための研修会、講演会等の出席費用として支給する金品をいいます。
労働者名簿の記入事項
・氏名
・生年月日
・履歴
・性別
・住所
・従事する業務の種類
・雇い入れの年月日
・退職の年月日(退職事由が解雇の場合は、その理由を含む)
・死亡の年月日及びその原因
日日雇い入れられる者については、労働者名簿の調製義務は課されません。
常時30人未満の労働者を使用する事業においては、「従事する業務の種類」の記入は不要です。
賃金台帳の記入事項
・氏名
・性別
・賃金計算期間
・労働日数
・労働時間数
・時間外労働、休日労働、深夜労働の時間数
・基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額
(通貨以外のもので支払われる賃金がある場合は、その評価総額)
・賃金の一部を控除した場合は、その額
賃金台帳は、日日雇い入れられる者も調製しなければならない。(労働者名簿と異なる点です。)
「賃金計算期間」は、日日雇い入れられる者については記入不要ですが、1ヶ月を越えて引き続き使用される者は記入が必要です。
労働基準法第41条(労働時間等に関する規定の適用除外)に該当する者については、労働時間数、時間外労働・休日労働の時間数の記入は不要ですが、深夜労働時間数は記入が必要です。
労働者名簿と賃金台帳は、あわせて調製することができます。
労働者名簿や賃金台帳 等の保存期間
労働基準法では、
「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。」と定められています。
「その他労働関係に関する重要な書類」には、使用者が自ら始業・終業時刻を記録したもの、タイムカード等の記録、残業命令書及びその報告書並びに労働者が自ら労働時間を記録した報告書などが含まれます。
保存期間である3年間の起算日については、次のとおりです。
| 書類 | 保存期間の起算日 |
| 労働者名簿 | 労働者の死亡、退職又は解雇の日 |
| 賃金台帳 | 最後の記入をした日 |
| 雇入、退職又は解雇に関する書類 | 労働者の退職、解雇又は死亡の日 |
| 災害補償に関する書類 | 災害補償が終わった日 |
| 賃金その他労働関係に関する重要な書類 | それぞれが完結した日 |
健康保険とは
健康保険とは、従業員である被保険者の方、あるいは従業員の方のご家族である被扶養者の方が、病気・ケガをしたとき(業務外のものに限ります)、出産したとき、また死亡したときに給付が行われる保険制度です。
会社などの法人、あるいは個人事業で常時5人以上の従業員を雇用される場合は、必ず健康保険に加入しなくてはいけません。なお、農林水産業、旅館、飲食 店、理容行、宗教、法務業については、例外的に常時5人以上の従業員を雇用していても健康保険に加入するかどうかは任意とされています。
健康保険に関しては、法人の代表取締役の方や専務・常務といった役員の方も加入することができます。ただ、個人事業主の方は加入することができません。
厚生年金保険とは
従業員である被保険者の方が高齢になったとき、身体に障害を負われたとき、または亡くなられたときに、年金または一時金が支給される保険制度です。会社などの法人、あるいは個人事業で常時5人以上の従業員を雇用される場合は、必ず厚生年金保険に加入しなくてはいけません。なお、農林水産業、旅館、飲 食店、理容行、宗教、法務業については、例外的に常時5人以上の従業員を雇用していても厚生年金保険に加入するかどうかは任意とされています。
厚生年金保険に関しては、法人の代表取締役の方や専務・常務といった役員の方も加入することができます。ただ、個人事業主の方は加入することができません。
雇用保険とは
雇用保険とは、従業員である被保険者の方が失業したとき、失業後早い段階で再就職をしたとき、高齢・出産・介護のため継続して働き続けるのが難しい状態と なったとき、または被保険者の方が自身の能力を向上させるために教育訓練を受ける場合などに、給付が行われる保険制度です。
従業員の方を1人でも雇っている場合は、雇用保険に加入する必要があります。ただし、従業員の数が常時5人未満の、農業、水産業、畜産業、養蚕業、水産業の場合は例外として、雇用保険に加入するかどうかは任意であるとされています。
雇用保険に関しては、法人の代表者、個人事業主の方は加入することができません。
労災保険とは
労災保険とは、従業員である被保険者の方が、仕事中または通勤途中にケガが病気が発生したとき、身体に障害を負ってしまったとき、または亡くなられたときに給付が行われる保険制度です。
従業員の方を1人でも雇っている場合は、労災保険に加入する必要があります。ただし、従業員の数が常時5人未満の、農業、畜産、養蚕の事業・従業員の数が常時5人未満ので、総トン数5トン未満の漁船による漁業と総トン数30トン未満の特定水面における漁業・常時従業員を使用しない林業の場合は例外として、労災保険に加入するかどうかは任意であるとされています。
労災保険に関しては、原則として、法人の代表者、個人事業主の方は加入することができません。しかし、中小企業などでは、代表者であっても従業員と同様 の業務をされているというケースも多いため、一定の要件を満たす代表者、個人事業主に関しては、特別に労災保険に加入することが認められています。
年末調整とは
年末調整とは、年末に従業員の方の1年間のお給料の総額に対する所得税の金額を計算し、すでに給与から天引きして納税した金額の合計と比較して、過不足を精算する手続きです。
なお、年末調整によって、1年間の所得税の金額に過不足が生じた場合は、従業員の方に還付、あるいは徴収をすることとなります。
年末調整は、従業員の方すべての分の1年間の給与の総支給額、社会保険料等の控除額、生命保険・損害保険料の控除額、配偶者に関する控除、住宅借入金による控除などを計算しなくてはなりませんので、非常に手間と時間のかかる作業です。また、何よりも正確さが要求されます。
所得税
会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税を差し引くことになっています。
そして、差し引いた所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。
この所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。
給与の支給人員が常時9人以下の源泉徴収義務者は、源泉徴収した所得税を、半年分まとめて納めることができる特例があります。
この特例を受けていると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税は7/10、7月から12月までに源泉徴収した所得税は翌年1/10が、それぞれ納付期限になります。
この特例を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することが必要です。
この申請書の提出先は、給与等の支払を行う事務所などの所在地を所轄する税務署長です。
給与所得とは、俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有するものをいいます。
使用人や役員に支払う給与や賞与、手当のほかに、専従者給与も、給与所得となります。
このほか、会社などが役員や使用人に与える一定の経済的な利益も給与所得となります。
したがって、これらについても源泉徴収を行う必要があります。
住民税
住民税とは、市町村民税(東京都の特別区の場合は特別区民税)と都道府県民税の総称です。その年の1月1日現在の住所地の市区町村及び都道府県が課税します。
住民税は、給与から控除し賞与からは控除しません。
住民税は、前年の1月から12月までの1年間の所得をもとに計算し課税します。
事業者は、特別徴収を実施する義務があります。
住民税は、広く一律に負担していただく均等割、収入に応じて負担していただく所得割、によって成り立っています。
「均等割」は区内に住所や事務所等を持つことにより一律に負担する税金です。
市町村民税分が年額3,000円、都道府県民税分が1,000円です。
「所得割」は個人の前年所得金額に応じて負担する税金です。
普通徴収の方法
事業所得者などの住民税は、納税通知書によって市(区)町村から納税者に通知され、通常6月、8月、10月、翌年の1月の4回の納期に分けて納税していただきます。
これを普通徴収といいます。
特別徴収の方法
給与所得者の住民税は、特別徴収税額通知書により、市(区)町村から給与の支払者を通じて通知され、給与の支払者が毎月の給与の支払の際にその人の給与から税金を天引きして、これを翌月の10日までに市(区)町村に納入していただくことになっています。
これを特別徴収といい、給与の支払者を特別徴収義務者とよんでいます。
特別徴収は、6月から翌年5月までの12ヶ月で徴収することとなっています
住民税が課税されない方
住民税には「均等割」と「所得割」がありますが、所得や家族の状況によって、住民税が課税されない人もいます。
均等割と所得割のどちらも課税されない人
・1月1日現在、生活保護法による生活扶助を受けている人
・1月1日現在、障害者、未成年者、※寡婦(寡夫)で前年中の合計所得金額が125万円以下の人
・前年中の合計所得金額が、次の金額以下の人
・扶養親族のいない人 35万円
・扶養親族のいる人
35万円×(控除対象配偶者+扶養親族数+1)+21万円
所得割が課税されない人
・前年中の総所得金額が、次の金額以下の人
・扶養親族のいない人 35万円
・扶養親族のいる人
35万円×(控除対象配偶者+扶養親族数+1)+32万円
定年制度とは
定年制度とは、従業員の方が一定の年齢に達したことを理由として、会社との雇用関係を終了される制度のことをいいます。
定年制度を設けるかどうか、また設ける場合に何歳をもって定年とするかは、それぞれの会社で決めることができます。ただし、定年制度を設けた場合は、必ず就業規則にその旨を記載しなければいけません。
あまりにも早い段階で定年を迎えてしまうと、労働者の退職後の生活に大きな打撃を与えてしまう恐れがありますので、高年齢者雇用安定法では60歳未満の定年制を設けてはいけないと定められています。
また、平成18年4月からは、65歳未満の定年制を設けている企業に対して、平成25年までに高年齢者の従業員の方の継続雇用制度を導入することを義務付けられました。
以下の3つのうちいずれかの制度を導入する必要があります。
・定年の定めの廃止
・定年年齢の引き上げ
・継続雇用制度の導入
ただ、やみくもに定年制度を改めればよいというわけではなく、会社の業務内容や高齢者を今後人材としてどのように活用されていくかなど、それぞれの会社の実情に応じて定年制度を見直す必要があります。
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